日銀は住宅ローン金利の急激な金利上昇は想定していない
3月に日本銀行がマイナス金利を解除しました。
住宅ローンの金利が上がるのではないかと不安に感じ
相談に訪れる人が増えています。
多くの人が変動金利でローンを借りているので
不安に感じるのかと思いますが
日本銀行が今回公表した方針転換は
マイナス金利は解除するものの
当面、金利は低いまま維持するよう
誘導するというものです。
したがって今すぐに
金利が2%も3%も上がるということは
想定していないわけですが
マイナス金利解除発表後、
だいぶ大げさに騒いでいるマスコミも見受けられます。
私のところにもマスコミから取材依頼があったのですが
なかには
「変動金利が0.3%から7%まで一気に上がった場合の
返済シミュレーションを作成して欲しい」
といった要望もありました。
そんなに急激に金利が上がったら
あちこちで破綻してしまう。
金利は通常は徐々に上昇をするものだし
万一急上昇したとしても
いつまでも高金利が続くわけではない
今回の日本銀行の方針転換は
当面は短期金利が+0.1%程度の上昇におさまるような目標であって
さらなる金利上昇が起こるとしたら
まだ先の話です
とお話をしたのですが
それでも参考までに作ってほしいというので
金利が急上昇した場合のシミュレーションを作成しました。
たとえば
5000万円を35年元利均等返済、
金利0.3%で借りていた人が
3年目に7%まで上がると
計算上は
月々の返済額が12万5421円から30万6433円に
一気に増えます。
ただし、実際には5年・125%ルールがあるので
5年間は返済額が変わりませんし
6年目の返済額が125%を超えて増えることはありません。
この場合の6年目の返済額は
15万6776円(12万5421円×125%)に
据え置かれます。
5年・125%ルールは
住宅ローンを借りるならば知っておきたいところですが
多くの金融機関で変動金利に採用されているルールです。
変動金利の見直しは半年毎に行われますが
月々の返済額は5年間据え置かれます。
たとえば
毎月の返済額が10万円だとして
その内訳が元金返済分が8万円
利息支払い分が2万円だとすると
金利上昇時は
元金返済分を7万円に減らし
利息支払い分を3万円に増やすといった
調整がされます。
これが
5年ルールです。
さらに
5年毎に返済額が見直しされるタイミングでも
前回の返済額の125%以上には増えません。
これが125%ルールです。
注意が必要なのは
125%を超過した分が免除されるわけではなく
支払いが先々に繰延されています。
したがって
もしも金利が右肩上がりに上昇を続けた場合
最終返済時に未払い利息と元金が残る可能性があるということです。
残った元金と未払い利息は最終返済時に一括返済を迫られます。
ただし
こんな事態が起きるのは
1990年のバブルが再来した場合です。
1987年から1990年にかけて
短期プライムレートが
3.375%から8.25%へと
わずか3年間で+5%近くも金利が急上昇しました。
この時には未払い利息が発生し
返済ができずに自己破産する人が
続出しました。
もしもバブルのころのような
短期間に金利が急上昇することが起これば
未払い利息が発生することもありますが
今回のマイナス金利解除くらいでは
そこまで起こらないと個人的には思っています。
長期的にはじわりじわり金利を上げていくことが目標
短期的には金利を急激に上げるつもりはないとしていますが
長期的には再び日本が健全な物価上昇・賃金上昇をしながら
経済成長をしていく元気な国になることを
国も日本銀行も目指しています。
経済成長をする国になることは日本人として望ましいことですが
物価上昇や金利上昇に負けないよう
家計管理や資産運用をしていく必要がこれまで以上に
求められるということです。
金利上昇というと
どうしても借金の金利ばかりに目がいきがちですが
私たちが預けている預金や
運用している先の金利も上昇するということです。
私が学生の頃は
郵便局の定期貯金の金利が7%~8%でしたが
おばあちゃんが10年預けていた貯金が2倍になったからと
お小遣いをもらっている友人がいて
うらやましく思ったものです。
貯蓄・運用の金利も見直しを
3月に日本銀行がマイナス金利を解除してから
各銀行の預金金利が軒並み引き上げられているのは
チェックしていますか?
都市銀行の定期預金金利は10倍以上に引き上げられています。
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<都市銀行 1年定期預金金利>
0.002% → 0.025%
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その他、定期預金の金利が高い銀行は以下の通りです。
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<オリックス銀行 1年定期預金>
0.2%
<SBJ銀行 1年定期預金>
0.4%
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また、個人向け国債も金利が上がってきています。
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<日本の個人向け国債 変動10年>
(2021年4月)0.09% → (2024年4月)0.47%
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日経平均株価や世界株に連動する投資信託で運用している人からすると
金利0.4%程度なんて面白くないと思うかもしれません。
ただし、
いざという時のために運用に回さず
元本確保型の円預金にある程度の資金は預けておくのが理想です。
その元本確保型の円預金の金利が0.025%と0.47%とでは
大きく違ってきます。
たとえば
1000万円を預けた場合の1年間の税引前の利息は
0.025%・・・・・2,500円
0.47%%・・・4万7,000円
ものすごい違いますよね!
私はその昔
育児休暇中に暇だったので
少しでも金利の高い定期預金を求めて
各銀行をジプシーのように渡り歩いていた時期があります。
最初の1年間だけ金利が高い銀行は多いので
最初の1年間だけ高い金利をもらって
1年後の満期の時に解約して
また別の銀行の定期預金に預け替えるといったことを
繰り返していました。
銀行からすると歓迎しないお客様ですし
随分暇だったなと思いますが
最近また金利が上がってきたので
今定期預金を預け替えるために
資料請求をしているところです。
皆さんもマイナス金利が解除された今
住宅ローンの金利だけに気をとらわれずに
預金先の金利も見直してみてください。
急激な金利上昇や
マスコミの大げさな報道に振り回される必要はありませんが
長期的にじわりじわりと金利が上がるかもしれないリスク
物価が上昇して支出が増えるリスクへの
備えとして上手に家計管理・資産運用を今のうちから
しておくと安心です。

