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景気を過熱せず、冷やしすぎもしない
中立金利の水準は
『最低でも1%程度だろう』
今後の経済・物価・金融情勢の推移しだいだが
2026年度までに最低1%程度まで
短期金利を引き上げていく
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2024年9月12日に
日本銀行の田村直樹審議委員が
岡山市で行われた金融政策懇談会で
発言したこの言葉が
取りざたされています
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短期金利の引き上げは
銀行の預金金利や
住宅ローンの変動金利に
影響を及ぼします
2024年3月に日本銀行がマイナス金利を解除してから
すでに短期金利はじわりじわりと
上昇が始まっていました
さらに日本銀行が
7月には政策金利を0.25%程度に
引きあげたことにより
短期金利が急上昇しています
出所:SBI証券ホームページ
短期金利の上昇を受け
各金融機関の動きとしては
今年に入り
定期預金や住宅ローンの金利が
引き上げれる動きが一部で出ています
一例をご紹介します
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<定期預金金利(1年物)>
■三菱UFJ銀行
2024年2月 0.002%
2024年3月 0.025%
2024年9月 0.125%
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<住宅ローン変動金利 新規向け最優遇金利>
■auじぶん銀行
2024年6月 0.319% → 同年9月 0.329%
■楽天銀行
2024年3月 0.556% → 同年9月 0.844%
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<短期プライムレート>
■三菱UFJ銀行
2024年8月 1.475% → 同年9月 1.625%
■住信SBIネット銀行
2024年9月 1.775% → 同年10月 1.925%(予定)
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ここまでの動きは
まだほんの一部の動きであり
今後の金利上昇がどうなるかが
気になるところです
昨日の田村委員の発言は一メンバーの発言であり
今後日本銀行が正式な決定をどのように下すかは
分かりませんが
もしも発言の通りになるとすれば
今後2年間というわりと短期間に
変動金利の元になっている
短期金利が1%程度まで
上がることになります
これまで
私は住宅ローンの変動金利の上昇について
以下の3つのパターンで予測したシミュレーションを
こちらのブログでもご紹介してきました
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■私がこれまで行ってきた金利上昇予測シミュレーション
<パターン①>楽観シナリオ:金利が一定期間経過後に累計+0.5%上昇
<パターン②>中間シナリオ:金利が一定期間経過後に累計+1.0%上昇
<パターン③>悲観シナリオ:金利が一定期間終了後に累計+2.0%上昇
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今回の田村委員の発言は
パターン②の中間シナリオに近いですが
私が想定していたのは
1回の利上げは+0.1%など緩やかな上昇幅で
徐々に金利が引き上げられていき
7年先に累計+1.0%になるような
もっとゆっくりとしたものだったので
今回改めてシミュレーションをしてみたいと思います
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■金利が2026年度末までに+1%上昇した場合のシミュレーション
※金利上昇の幅や時期は仮定であり、何ら根拠はありません
<金利引き上げの想定シナリオ>
時期 | 金利上昇分 | 適用金利 |
2024年9月現在 | ー | 0.475% |
2024年10月 | +0.15% | 0.625% |
2025年4月 | +0.25% | 0.875% |
2025年10月 | +0.25% | 1.125% |
2026年4月 | +0.25% | 1.375% |
2026年10月 | +0.10% | 1.475% |
ところで
住宅ローンの返済は
金利が引き上げられる時期が一緒だとしても
当初借入した時期や
選んだ商品の返済ルールによって
返済額が見直しされる時期は
人によってまちまちになります
そこで今回は以下の3つのケースで
上昇シミュレーションを行ってみました
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【共通の前提条件】
当初借入額:5000万円
返済期間:35年
返済方法:元利均等返済・月々返済のみ
当初適用金利:変動金利0.475%
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【ケース①】
5年・125%ルールが適用される金融機関で借り入れをし
2020年4月に返済がスタートした人
【ケース②】
5年・125%ルールが適用される金融機関で借り入れをし
2024年4月に返済がスタートした人
【ケース③】
5年・125%ルールが適用にならない金融機関で借り入れをし
2024年4月に返済がスタートした人
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金利上昇の想定条件は
いずれも上記の想定シナリオの通りで一緒です
ややこしいですね。
まず、多くの金融機関で
住宅ローンの変動金利に適用されている
5年ルールですが
当初借入年から起算して
5年毎にしか返済額は見直しされません
ケース①の2020年に返済がスタートした人であれば
見直しの時期は
2025年
2030年
2035年
以降、5年毎
となります
返済額が見直しされる月に関しては
金融機関や商品ごとに異なるのですが
ここでは分かりやすいように
それぞれ5年毎の4月に
返済額が見直しされるものと
仮定しています
なお
5年間は返済額が変わらなくても
金利が上昇した場合には
計算上はその時点で
新しい金利が反映されているので
毎月の返済額のうち、
元金の返済分と利息の支払い分が
調整されることになります
ケース①で
2024年10月に金利が+0.15%上昇しますが
月々の返済額は129,241円のまま変わりません
ところが返済額のうち元金返済分は
2020年4月の109,449円から
2020年10月は106,310円に減らされてしまい
反対に利息は
19,792円から
22,931円に引き上げられています
これが返済額は5年間変わらないルールのために
起こる現象です。
そして
5年毎の見直しのタイミングは
その人が借り入れをした年から起算されるので
たまたまケース①のように
4年前の2020年4月に借り入れした人であれば
2024年10月に金利が上昇すると
来年2025年に返済額が引き上げれることになります
一方
ケース②のように
2024年に借入したばかりの人であれば
一番最初に返済額が見直しされるタイミングは
2029年なので
2024年10月に金利が引き上げられたとしても
月々の返済額が上がるのはまだ先です
ただし
月々の返済額のうち
元金と利息の内訳が調整されてしまい
金利が上がるたびに元金の返済分が減り
利息の支払い分が増えるのは
ご覧の通りです
また
ケース③のように
5年・125%ルールの適用がない金融機関で
借りている人は
金利が引き上げられると
すぐに返済額に反映される仕組みです
まずは
ご自身が借入している住宅ローンの返済ルールが
5年・125%ルールが適用される商品かどうか
適用されるのであれば
5年毎の見直しのタイミングがいつなのか
確認をするようにしてください
いずれにしても
仮に今後2年程度で金利が+1%程度引き上げられると
月々の返済額がいずれ+2万円強増えることになります
2年間で累計1%の引き上げは
私が想定していた以上に強気な印象ですが
本当に引き上げられた時のために
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